もしもダンガンロンパだったら 第9話


図書室、もしくは書庫室と思われし部屋にて手にした本の間に謎の紙が挟まっていた。
それをキュピルに見せるとすぐに取り上げられてしまい、その紙の意味について知りたければ深夜12時、キュピルの部屋へ来るようにと言われた。


琶月
「私を狙った犯行でなければいいんですけど・・・。」

少し考えてみれば、防音性の優れた部屋に誰かを招き入れそれが深夜の時間帯となれば殺人を狙っているのではっと思えてしまう。

琶月
「流石にキュピルさんに限ってはないと思いますけど。」

これがもし、2馬鹿からの誘いだったら間違いなく断っている。ただ、自分の身を犠牲にしてまでキューを助けたキュピルなら安心だろう・・・。

琶月
「・・・・大丈夫・・・ですよね?」

そんな事をブツブツと呟きながら廊下を歩く琶月。
時刻は午後八時。食堂で簡単に料理を作っては食事を済ませ、その後寄宿舎エリアの廊下を適当にぶらついていた。完全に暇を持て余した行動だった。
そんな時、ふと脳裏に新しく倉庫に行けるようになったことを思い出した。

琶月
「あ、そうだ。倉庫に行けるようになってたんでしたね。ちょっと行ってみようかな~。」
ジェスター
「さっきからブツブツひとり言言っているけど五月蠅いよ?ボッチ?輝月がいないとボッチなの?」

突如後ろからジェスターに罵倒され、頭を抱えるお決まりのポーズでまた叫ぶ。

琶月
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
ボッチじゃありませんっ!!もともとひとり言が多い性格なんです!!!」
ジェスター
「変質者だ!!次の黒は琶月で決まりだね。」
琶月
「だ、だ、だ、だから私は元々ひとり言が多い性格なだけなんです!!」
ジェスター
「嘘だ~~。本当は暇で誰かに構ってもらいたかったからひとり言言ってたんでしょ?」
琶月
「うっ・・・・。」

・・・・実はジェスターの言う通りだったりする。別に私はひとり言が多い性格ではない・・っというか、ひとり言なんて今まで殆ど言ったことがない。

ジェスター
「琶月の能力は超高校級の貧乳だから友達いなさそうだもんねー。」
琶月
「こんな悪口、生まれて初めて・・・。」


・・・ジェスターって、顔に似合わず結構口が悪い・・・。

ジェスター
「でも安心していいよー?私が琶月の友達になってあげるから?」
琶月
「うう・・・。友達料とか請求してきたりしないですよね・・・。」
ジェスター
「友達料?取っていいの?」
琶月
「ダメです!!」

そんな意味のない会話を繰り返していく。

琶月
「あ・・・そうだった。私倉庫に行こうとしてたので失礼しますね。」
ジェスター
「あーーーー!!琶月が倉庫に言って凶器がないか探そうとしてるーーーー!!!みんな~~~~!!!」
琶月
「あああああああああああああああ!!!!!!!!だから別に悪い事なんて考えていませんってばぁ~~~~~~!!!!」

私は逃げるようにして倉庫の中へ入って行った・・・。



・・・。

・・・・・・・。



倉庫は薄暗く、それでいて色んな物が積み上げられていて圧迫感のある部屋になっていた。
ただ倉庫の割には比較的綺麗で埃などは全くなかった。・・・モノクマが掃除していたりするのだろうか?

モノクマ
「違うよぉ。」
琶月
「うぇっ!!?モノクマっ!!?」

いつの間にかモノクマが倉庫にある棚の上に乗っかっていた。

モノクマ
「違うよぉ。」
琶月
「ん?モノクマでないのであればただのクマでしょうか?」
モノクマ
「違うよぉ。」
琶月
「・・・・・・あのー・・・。」
モノクマ
「違うよぉ。」
琶月
「・・・も、もういいです!」
モノクマ
「違うよぉ。」

・・・ひたすら、「違うよぉ」を連呼し続けるモノクマを無視して倉庫の中の探索を続けた。・・・暇なのだろうか。
倉庫の中は洗剤やトイレットペーパーなどの日用品が入った段ボール箱が何重にも積み重ねられており、さながら大型スーパーの商品倉庫と言った所だった。
倉庫に置いてある物としては日用品が最も多いが、中には飴玉やグミなどといったお菓子も箱詰めにされて置かれている。
他にも木材に電動ノコギリに木工ボンドに・・・。無駄に組み立て可能な鉄パイプなども置かれている。

琶月
「・・・工作しろって事なんですか?これ。」
モノクマ
「違うよぉ。」
琶月
「あぁーー!なんかムカツクー!!」

私は逃げるようにして倉庫から去った・・・・。


ちょうど倉庫を出た瞬間。目の前にヘルが立っていた。

ヘル
「ん、琶月か。」
琶月
「あれ?こんな所で何をしているのですか?」
ヘル
「倉庫に立ち寄ろうとしていた。プロテインとかなかったか?」
琶月
「うーん、そんなものは見当たりませんでしたね。」
ヘル
「そいつは残念だ・・・。サウナ上がりにプロテインを飲むと筋肉が更に強くなるからな。サウナとプロテインの相性はアラビアと石油と同じくらい相性がいいんだ。分るか?」

分らない。

ヘル
「・・・そんな事より、お前も一体何で倉庫何かにいたんだ?」
琶月
「え?いや・・・私はただ、倉庫がどんな部屋になっているのか見に来ただけです。」
ヘル
「ふーん。俺はてっきり胸パッドでも探しに来たものかと思った。」
琶月
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!そ、そんなのつけませんって!!!第一つけたらすぐにバレルじゃないですか!!」
ヘル
「確かにな。」

・・・・自分で言って物凄く空しくなってきた。
落ち込む私を余所にヘルは話を続ける。

ヘル
「やれやれ、プロテインないんだったら普通にサウナに入って過ごすか。」

そういうとヘルは私の元から離れ公共浴場へと向かっていった・・・・。
・・・・数十秒後。先にキューが公共浴場に入っていたらしく、ボコボコにされたヘルが半裸状態で入口の前でうつ伏せで倒れていた。超高校級の馬鹿力とは一体何だったのか。



・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



やる事もなく、ただ自分の部屋でのんびりと時間を過ごす。
何もしないで深夜12時になるまで待つのは意外と辛い。ましてや、今まで師匠の身の回りの世話に一日の殆どを使っていただけに
突然生まれてしまった空白の時間に私は対応できずにいた。

琶月
「・・・・・・・・・。」

・・・・趣味は師匠のお世話。好きな事は師匠と一緒に居る事。嫌いな事は師匠と離れている事。
つまり、他の人で言うゲームをして一日を過ごしたりショッピングで一日を楽しむのと、私が師匠の元で身の回りを世話するのは同義なのだ。
変に思われるかもしれないけど、師匠の身の回りの世話をするのは他の人達で、ゲームして過ごすのと同じくらい楽しかった。実際の所は師匠と一緒に居れば何でも楽しかったんだけど・・・・。

琶月
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

・・・・・・・・・・。

本当に何をすればいいのか分らない。

私は・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


いつのまにか目を閉じていて、少し眠りについていたようだ。
ウトウトと半分意識を手放した状態で、ふと時計に目をやる。

・・・時刻は午前1時。


・・・・。


琶月
「うぇぇっっ!!?過ぎてる!!?」




よりによって一時間も過ぎていたとは!!

私は慌ててベッドから起き上がって部屋から飛び出し、キュピルの扉を高速でノックした。
すぐにキュピルが出てきてくれることを願ったが残念ながらドアを開けキュピルが出てくることはなかった。

琶月
「う、うぅぅぅ・・・まさか寝ちゃったかな・・・。嫌われちゃったかなぁ・・・。」

好き、嫌いはともかくあの紙に書かれていた意味について知られなかった事について深くショックを受ける。

琶月
「・・・でも、明日になったらまた教えてくれるかな?」

そんな事を考えながら自分の部屋へ戻り、朝まで寝ようと思ったその時だった。

「おい、そこで何をしている。」

琶月
「わっ!」

突如誰かに話しかけられ、慌てて声の聞こえた方へと向き直る。
するとそこには険しい表情を浮かべたギーンの姿があった。

琶月
「べ、べ、別に何でもないですよ!」
ギーン
「・・・怪しい、怪しいな。さては殺人でも目論んでいたか?」
琶月
「そ、そんな事しませんってば!!」

ムキになってギーンに反論するがギーンは至極どうでもよさそうな顔をしながら、琶月を鼻であしらった。

ギーン
「貴様が誰を殺そうと殺さまいと俺には関係ない。だがちょうど良い。貴様に仕事を与えてやろう。」
琶月
「・・・は、はい?仕事・・・?」
ギーン
「ついてこい。」
琶月
「わ、私は一言もやるだなんて言ってません!!」
ギーン
「いいからこい。」

鋭い眼差しで琶月に命令するギーン。
ついていくべきか、いかないべきか。散々迷った挙句に、一度深いため息をついてからギーンの後についていく事にした。




・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



琶月
「あのー!ちょっと~!どこへ行くつもりですかー!!」

早歩きで校内を進んでいくギーン。
校舎エリア一階を通り抜けそのまま二階へと進んでいく。琶月が小走りになりながらもギーンの後を追っていくと、やがて目的地へとたどり着いた。
そこは図書室だった。

琶月
「図書室?ここで何を任せようとしているのですか?」
ギーン
「少し興味深い文献を見つけた。」

そういうとギーンは図書室へと入り、更に図書室への奥の扉を開けて世の中の秘密について綴られている本が並べてある部屋と入った。

琶月
「ま、またそこですか・・・。」
ギーン
「こいつを読め。」
琶月
「暗殺者に狙われたりしませんよね?」
ギーン
「約一名には狙われるかもしれないが読め。」
琶月
「い、いやです!!狙われるんだったら例え一人だとしても読みませんからね!」
ギーン
「ならここで俺に殺されるのと、一名に追われるのとどっちを選ぶ。」
琶月
「そ、そんな無茶苦茶な・・・。」
ギーン
「そうか。その場で死を選ぶと言うのだな。」
琶月
「ワッーーー!!読みます!読みますってばぁ!!」

半ば半泣きになりながらもギーンから手渡された一冊の分厚い本を手に取って私はそこに書かれている事を読もうとした。
ところがページには訳の分からない言語で端から端まで埋め尽くされていて、とてもじゃないが読めそうにない。

琶月
「な、なんですかこれ・・・。子供の落書きみたいな文字ですけど・・・。」
ギーン
「なんだ貴様。高校生にもなってフランス語も読めないと言うのか?」
琶月
「ふ、普通の高校生は読めないですよ!!フランス語なんて!!」
ギーン
「ふん、考え方も知識も発想も胸も全て貧相という事か。」
琶月
「だから一言余計です!!!」

ギーン
「超高校級の能力なのだろう?貴様の貧乳っぷりは。誇ったらどうだ。周りの誰もが羨む超高校級だぞ。」
琶月
「う、ううぅぅぅ・・・。帰ります・・・。」
ギーン
「その場で死を選ぶと言うのだな?」
琶月
「ワッーーーー!!!お、お願いですから!靴も舐めますから読んでください!!!」

泣きながらギーンに足にしがみ付いて懇願する。プライドがどうこうとか言われるかもしれないけど、そんなものはここに入学する前からない。

ギーン
「貴様に舐められては靴も余計に汚れる。だが誠意は汲み取って特別に読んでやろう。」
琶月
「(どうしてこんな人と一緒に居るんだろう・・・・。)」

ギーンが琶月から本を奪い取ると、琶月に伝えたい部分を読み聞かせ始めた。

ギーン
「『超高校級の殺人鬼。』このページの見出しだ。」

思わずドキッと心臓が跳ねた。ただの殺人鬼ならいざ知らず、超高校級っとついているとくれば・・・・。

ギーン
「超高校級の殺人鬼。常に何十本ものナイフを常備し、被害者の体をその常備しているナイフで串刺し・・もとい壁に張りつける狂った思考を持った犯罪者。
この本はその奴についての特徴が色々書かれている。・・・もしかすると、ここの生徒、あるいは生徒『だった』奴かもしれないな。」
琶月
「超高校級の殺人鬼・・・そんな人もこの世の中に入るんですね・・・。」
ギーン
「この本には、超高校級の殺人鬼が起こした殺人事件のリストが並べられている。」

ギーンが何枚かページをめくった後に私に見せつけてきた。
そこにはナイフで体を串刺しにし、杭を打ち付けているかのように人の体を壁に固定させていた。
ナイフで人の体を固定しているその様は、あまりにも現実離れしている。
思わず吐き気がこみ上げ私は口元に手を当て、本から目を逸らした。

琶月
「うっ・・ぷ・・・。こ、こんなのを私に見せつけて・・・一体何を伝えたいのですか!」
ギーン
「黒幕が超高校級の殺人鬼である可能性について俺は考慮したい。」
琶月
「・・・・黒幕が超高校級の殺人鬼である可能性・・・?」
ギーン
「そうだ。」

黒幕は超高校級の殺人鬼・・・・。
確かに、あり得ない話ではない。こんな狂った事が出来る人なら、こんな狂った殺し合いだって・・・・。
しかし、何か違和感を感じる。

琶月
「ん?でもそれっていくらなんでも安直な結びつきに感じられませんか?」
ギーン
「ほぉ、何故そう思った?」
琶月
「だって、超高校級の殺人鬼何ですよね?自分で殺すから殺人鬼何ですよね。だったら、仮にその殺人鬼が黒幕だったとしたら
態々モノクマ何かを操作して私達を脅し、殺し合いをさせるなんかより自分で殺した方がその殺人鬼は遥かに好きそうに思いますけれど・・・・。」
ギーン
「そうだな。どうやらお前は人の話を簡単に信じ込む馬鹿じゃないようだ。」
琶月
「どういう意味ですか、それ。」
ギーン
「お前を試していたって事だ。」
琶月
「・・・・私を試していた?」
ギーン
「そうだ。お前の言う通り、超高校級の殺人鬼は黒幕の可能性は低い。・・・どうやら、胸はないが頭は多少はあるようだ。」
琶月
「だからいちいち一言余計ですっ!!!」
ギーン
「黙れ。本題はここからだ。」

ピシャリとギーンが冷たい口調で話の流れを切った。

ギーン
「単刀直入に言うぞ。超高校級の殺人鬼が俺達に紛れている可能性がある。」
琶月
「さっき黒幕の可能性はないって自分で言ったじゃないですか。」
ギーン
「・・・やはり胸同様頭もスッカラカンか。」
琶月
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
さっきのは嘘・・・っていうか、意味やっとわかりました!!」

ただあまり信じたくはないが・・・・。

琶月
「・・・・私達、生き残り『12人』の中に超高校級の殺人鬼が紛れている可能性がある・・・って事ですか?」
ギーン
「そうだ。」
琶月
「そ、その根拠はどこにあるんですか!?」
ギーン
「いいか。今からいう事に一つでも心当たりがあれば口に出してみろ。」

そういうとギーンは本をもう一度開き私に聞かせ始めた。

ギーン
「『超高校級の殺人鬼の犯行主砲は常人には考えられない残虐的思考の持ち主でありながら、高学歴者と思わせられる知能犯的一面も併せ持っている。
これまで、各国の国際警察が連携を組んで犯人を追いつめようとしたはずが、逆に追い詰められた事も数多い。
また、超高校級の殺人鬼が残す手がかりの殆どは意図的に残されたものである事が多く、その残された手がかりの殆どは貴族階級の嗜みを模したものである。
この事から犯人は貴族の元で殺人鬼であることを隠して生活、あるいは匿ってもらっている可能性がある。
犯人について、これまでわかっている事は4つ。一つは、殺す対象の全てが若い男性である事。二つは、殺人を犯した後、被害者の頬にキスマークを残すこと、三つ目は貴族の嗜みを持っている事、そして最後は女性である事。』」
琶月
「・・・・・・・・・・・・・。」

・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

あれ、心当たりが・・・・・・。

琶月
「(・・・・貴族の嗜み・・・・貴族階級・・・・女性・・・・。超高校級の・・・・・。)」


・・・。

突如、貴族階級の嗜みを教えられた人物が一人、私の脳裏に思い浮かんだ。

琶月
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


ギーン
「気づいたか。」
琶月
「ま、まさかルイさんの事を言っているんですか!!?」
ギーン
「そうだ。」
琶月
「だ、だけどだけど!!いくらなんでもルイさんが超高校級の殺人鬼だとは考えられませんよ!!だって、あんなに優しいんですよ!!?
大体一致している所なんて女性である事と貴族階級の教育を受けている事っていう事ぐらいじゃないですか!!
そもそも、あんな華奢な体つきをしているルイさんが男一人を相手にして、ましてや壁に貼り付けて殺すような事が・・・・出来る訳がありません!!!」
ギーン
「本当にそう思うか?明日から注視してみる事だな。俺が貴様に伝えたい事はこの一つだけだ。」

そういうとギーンは本を私に手渡してそのまま去って行った。
・・・・多分、もっと知りたければこの本を読めっていう事なのだろうけど・・・・。

琶月
「・・・・私、フランス語読めないんですけど。」


・・・・。

・・・・・・・・・・。


しかし・・・・。

本当にルイさんが超高校級の殺人鬼?

私は到底信じられそうになかった。


トボトボと、寝るために自分の部屋に向かって歩いていく。
校舎エリアを抜け、寄宿舎エリアへとちょうど戻った瞬間、公共浴場から誰かが出てきた。

琶月
「ん?」
ヘル
「む、琶月か。まだ起きていたのか?」
琶月
「ちょっとギーンに引っ張りまわされてました・・・・。そういうヘルも、こんな時間までお風呂に入っていたのですか?」
ヘル
「風呂じゃない。サウナだ。」
琶月
「ふーん・・・・。何十分ぐらいですか?」
ヘル
「5時間。」
琶月
「長っ!!?脱水症状起こしますよ!!」

ヘル
「脱水症状起こす直前までサウナに籠って、最後にプロテインを心行くまでガブのみすると超人的な肉体が手に入る。そうやって俺はこの筋肉を手に入れたんだ。」

絶対に嘘だって突っ込みたかったけれど、仮にもヘルは超高校級の馬鹿力の持ち主なので一概に否定することは出来なかった・・・・。

ヘル
「琶月も試してみるか?ついでにプロテインは巨乳になれるらしいぞ。」
琶月
「絶対に嘘だー!」

今度こそ私は言いたかった言葉を口に出して、とっとと自分の部屋に戻る事にした。

・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。



眠支度を済ませた後、私はどうしても二つの事だけが気になっていた。


一つはルイさんの事。
本当にルイさんは超高校級の殺人鬼なのか?ギーンが訳の分からない思考で私を負の連鎖に落とし込もうとしているだけなのか?
それとも本当にギーンは純粋に忠告をしたのか?そもそも本当に何故突然こんな事を私にだけ伝えてきたのか。

一度考え出すと止まらない。

そしてもう一つ。




琶月
「(キュピルさんは私に何を伝えようとしていたんだろう・・・・。明日になったら教えてくれるかな・・・・。)」


ついでに行けなかった事も謝っておこう。
そう思いながら、私は眠りについた。

明日も、この変わりようのない世界で、半ば非日常ではありつつも日常と化してしまったこの世界での一日を過ごすことになる。
だから明日、また聞けばいい。

そう思っていた。

だけど翌日。


まさかまたあんな事になろうなんて私は知る由もなかったんだ。

続く


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